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経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”

量的緩和解除で生活はどう変わる?

[水野アナ] 日銀が今月9日、2001年に導入した量的金融緩和政策の解除を決めました。
この「量的緩和の解除」、説明するのが難しいんですが、ものすごく、はしょって説明しますと、世の中に出回るお金の量を増やして、ジャブジャブにして皆さん、どんどんお金を使いましょう!という金融政策していた日銀が「もう、そろそろええやろう」と、かつての水準までお金の量を減らしまっせと舵をきったということなんですよね。
で、この日銀の判断は、日本の金融政策が変わるものだとしてニュースでも大きく扱われたわけですが、その後、われわれの生活にどういう変化が起きているんでしょうか?
けさは、阪南大学講師で税理士の堀浩司さんに聞きます。
堀さん、まず「量的緩和の解除」に日銀が踏み切ったのは、どうしてなんですか?
[堀]  日銀の政策というと、本来ならば金利を上げ下げして、景気が悪くなったら金利を下げてお金を借りやすくして景気を刺激するし、反対に景気が良くなったら金利を上げてお金を借りにくくし、景気のヒートアップを抑える、ということだったわけですよね。ですから、景気も回復傾向にあるので、この本来の日銀の機能を取り戻そうというのが彼らの狙いなわけです。
[水野アナ] ただ、日銀は量的緩和の解除に踏み切りましたけれど、ゼロ金利は継続するということで金利を上げるとは一言も言ってませんよね?
[堀]  そうなんですが、量的緩和を解除したということは日銀としてはやっと、金利の上げ下げによる本来の政策を実行できる環境を整えたことになるわけです。
[水野アナ] ということは、それを先取りする形で金融機関の金利なども動き始めてるんですか?
[堀]  その通りなんです。長期金利と言って、金融機関が1年以上の融資をする際の目安になる金利は日銀が緩和策解除を発表した翌日から少しずつ上がってきていますし、私たちにとって身近な金利、たとえば三菱東京UFJ銀行は5年ぶりに定期預金金利引き上げました。※スーパー定期(300万円未満)1年0.03%0.06%
[水野アナ] 上がったといっても、100万円預けて、1年で300円だった利子が、600円になるだけのことですやん!
[桂かい枝] でも、ほんのちょっとでも利子が上がるのは、いいことじゃないですか!
[堀]  ちょっと待ってください、かい枝さん。預ける金利が上がるということは、借りる金利も上がるということなんです。ここで一番問題になってきそうなのが、多くの人にとって最も大きな借金である住宅ローンなんです。
[水野アナ] 今、やっと理解できました。いつも税金の話題のときに来ていただいてる堀さんが、どうして日銀とか金利とかやや畑違いの話をしておられるのか、不思議に思ってたんです。住宅のことは、いろいろなところでセミナーや講演をされてますからお詳しいんでしたよね。
[桂かい枝] そう言えば、以前夕方の番組でこの3人で「金曜住まい塾」なんてコーナーもやってましたね!
[堀]  懐かしいですね。そのときにもお話したかも知れませんが、住宅を買う人にとっては住宅そのものの値段が高いか安いかも重要ですが、件宅ローンの金利も最終的に払う金額のトータルを計算する上では、とても大切な要因なんです。
[水野アナ] で、もう住宅ローンの金利も上がり始めてるんですか?
[堀]  そうなんです。三菱東京UFJ、みずほ、三井住友といった多くの金融機関で、0.1%とか0.2%とか、まだ小動きではあるんですが、金利が上がりつつあります。
[桂かい枝] じゃあ、僕みたいにこれから家を買おうかという人間には、つらい時代が来たということなんですか?
[堀]  今の金利の水準はまだまだ低金利だと思うんですが、いざ日銀が金利を上げるということになれば、もっとローンの金利が上がって、借金をする人には不利な時代が来るかも知れません。これから借金をする人も大変なんですが、すでに借金をしている人、住宅ローンを抱えてる人も大変なことになるかも知れないんです。
[水野アナ] えっ?もうすでに住宅ローンを借りてる人は、金利が低いときに借りてるから、問題はないんじゃないですか?
[堀]  ローンを返し終わるまでの金利が決まっている固定金利で借りた人は安心なんですが、変動金利といって、世の中の金利の動向で金利が変わるローンを借りている人や2年固定とか3年固定とか、最初の2年、3年しか金利が決まっていないローンの場合は、その期間が終わると、そのときどきの新しい金利が適用されますから、急に返済額が上がってしまうということもあるわけです。
 実際、住宅ローンに関するセミナーなどで最近多い相談が「金融機関で言われるままに3年固定、5年固定でローンを借りたが、ちょうど期限が来て金利の見直しの時期に来ている。金利の上昇が心配……」というものなんですね。
[水野アナ] 景気がよくなったと言われてますけど、それほど給料が上がったという実感もないですし、このまま金利が上がって、毎月の返済額が増えていくと住宅ローンを返せなくなる人も出るかも知れませんね。一体、どうしたらいいんですか?
[堀]  最悪の場合、毎月の返済額が返せずに、マイホームを手放さざるをえない人が出てくるかもしれません。実は、去年の春の時点で「住宅ローン契約のときに当初の低いキャンペーン金利ばかりに目を奪われて、将来、金利が上がったときに住宅ローンの支払いに困って多重債務に陥ってしまう人がたくさん出る心配があるので、金融機関がそのリスクをきちんと説明するようにして欲しい」という要望書を日弁連が金融庁に提出してるんですね。
[水野アナ] じゃあ、こういう事態はある程度、想定できたということですか?何か打つ手はなかったんですかねえ?
[堀]  例えば、アメリカの法律では、全期間固定金利型以外の住宅ローンを契約する際、過去15年間の金利変動実績データによる返済額の計算例、または融資期間中に想定される最高金利と最高返済額計算例の提供を義務付けています。日本でもこういう取り組みが必要だったのかも知れませんね。
[水野アナ] へえ、アメリカではローンの契約をするときに、金融機関側が「これから先、金利がこれくらいなりそうです」とか「この先、金利が上がって、毎月の返済額がこのくらいまで上がる恐れもあります」とか、そういうリスクをきちんと説明してくれるんですか。
[堀]  説明してくれるというか、「説明しないといけない」と法律で決められてるんです。
[桂かい枝] それにしても、日本では十分な説明がなかったかも知れませんが、金利が上がるかも知れんということに、なんで多くの人が気づかなかったんですかね?
[堀]  ひとつは、低金利が当たり前との錯覚をしていたということですね。バブルの頃から既に十数年経って、バブルを知らない世代がちょうど住宅購入をする時期になってるんですが、そうした世代の人は、住宅ローン金利は1%とか2%台と低く変わらないものだと思っているんです。
でも、今の超低金利は特別なことで、ある住宅ローンの実例を挙げますと、2400万円あまりを返済期間35年の変動金利で借りたケースで、現在、2006年は金利が2.2%で月の返済額が8万円ほどなんですが、1991年頃だと金利は8.4%と高くて、月の返済額はなんと18万円にもなっていたんです。
ですからバブルのときと比べると、今はずいぶんローン返済が楽になったわけですが、これと逆のこと、過去の水準に戻る可能性もまったくないとは言い切れないわけです。
[水野アナ] 確かに、低金利が当たり前、このままずっと続くもんだと思い込んでいた借りる側にも問題はあると思うんですが、お金を貸す側、金融機関にも責任があると思うんですけど。
[堀]  さきほどの日弁連の要望書、アメリカの法律のところでも触れましたが、日本の金融機関の説明不足という側面も否定できないと思います。住宅ローンの説明を聞きに行くと、変動、期間限定の固定金利を薦めて「あなたなら優遇金利の適用で、1%台で」というセールストークで来られると、借りる側にとっては「貸してもらう」という心理も手伝って、担当者の言いなりになってしまうという人も多かったんじゃないでしょうか?
[水野アナ] なるほど。堀さんには、このあと7時台にもお話を伺います。

[水野アナ] けさは日銀の量的緩和解除を受けて、住宅ローンの金利が上がりつつあるというお話を、住宅問題に詳しい税理士の堀浩司さんに伺っています。
堀さん、金利が上がってきたとは言え、これからマイホームを持ちたい住宅ローンを借りたいという人はたくさんいると思います。そういうこれからお金を借りるという人は、どんなことに注意すればいいんですか?
[堀]  これは、その人の経済状態、あるいは借金の返し方によって対応が異なると思います。と言いますのは、金利が上がってきたとは言え、依然として低金利であることは間違いありませんし、これから急に5%とか7%とか、いきなり金利が跳ね上がるということもないと思います。
ですから、短い期間で返すつもりの人、あるいは返済額に余裕のある人は変動金利型のものや、短い期間の固定金利型で金利の安さを享受するのがベターだと思います。
[水野アナ] でも、どちらかというと、ぎりぎりの家計をやりくりしてローン返済に充てているという人の方が多いですよね。
[堀]  そういう、返済額に余裕のない人、30年とか35年という長期で返す人は、全期間金利が変わらない固定金利のローンを組むのがいいと思います。具体的に言いますと、「フラット35」と言って、民間金融機関が貸し出し住宅金融公庫がその住宅ローンを引き受ける商品がありまして注目を集めているようです。
金利は、現在2%台後半で、2年固定とか3年固定のものに比べて少し高いんですが、その分、ローンが終わるまでの月々の返済額が確定しますからたとえ、世の中の金利が上がっても、安心して生活設計ができるというメリットもあるわけです。
いずれにせよ、それぞれのローンの内容をしっかり理解した上で、目先の金利に惑わされることなく、自分にとって適したものを選ぶと言うことが大切だと言えます。

(MBS「はやみみラジオ!」2006年03月24日ON AIR)

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