経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”
高齢者の「痛み」は、三重苦!!
高齢者の悲鳴
住民税の負担急増にびっくりした高齢者来所数(6.18朝日新聞)
尼崎市役所 6月 5日 300人
吹田市役所 6月 8日 400人
国民健康保険料の負担急増にびっくりして役所に押し寄せた高齢者来所数(8.04週間ポスト)
大阪市港区役所 6月20日 656人
夫の年金280万円のご夫婦で、負担増額は年間、214,061円
どうしてこんなに負担増になったのか
■所得税及び住民税が上った 所得税は17年分から、住民税は18年分から
(1)老年者控除の廃止 65歳以上年間所得1000万円以下
所得税50万円 住民税48万円
(2)公的年金控除額の縮小
65歳以上の年金 所得税及び住民税 最低縮小額20万円
■国民健康保険料も上った 18年分から
◎市町村によって、負担増となる保険料もことなる
◎負担増がきつい市町村は、保険料の算定方式を
住民税額を基にする方式から、所得に比例する方式に変更したところ
◎すでに、変更済みの市町村では、負担増が小さい
◎変更の理由としては、
負担が少なかったとされる非課税世帯、低税額世帯にも、相応の負担を求めたこと
◎結果、高齢者を中心にかなりの負担増となった
どんなぐらいの高負担
たとえば、70歳の妻と二人暮らしで
大阪市に在住の年金の年収280万円の73歳の男性の場合
所得税 2004年分 | 0円 | → | 2005年分 | 37,600円 | +37,600円 | |
住民税 2005年分 | 4,000円 | → | 2006年分 | 32,600円 | +28,600円 | |
国民健康保険料 | ||||||
2005年分 | 116,213円 | → | 2006年分 | 235,274円 | +119,061円 | |
介護保険料 | ||||||
2005年分 | 100,260円 | → | 2006年分 | 129,060円 | +28,800円 | |
(220,473円 | ) | (434,534円 | ) | 負担増の合計 214,061円 |
これだけではない高齢者の負担増
6月14日成立「医療制度改革法」〜医療費抑制〜
■2006年10月から
(1)現役並み年収の70歳以上の患者窓口負担率 2割→3割
(夫婦で年収520万円以上)
(2)70歳以上の長期入院患者の食費と光熱費を自己負担化
療養病床 例 月額64,000円→94,000円
さらに・・・
■2008年04月から、
(1)70歳〜74歳の患者窓口負担率 1割→2割
(2)75歳〜全員加入
子供などに扶養されている高齢者 0円→年額18,000円
リハビリの日数制限〜2006.04.01から
脳血管疾患180日、運動器疾患及び心大血管疾患150日、呼吸器疾患90日
低所得者を狙いうちにした増税策で、「豊かな老後」を送る人と「ギリギリの生活」を強いられる人の
「格差」はより拡大する!
こんなに高齢者の負担が増しているのに、反対の声が盛り上がらない理由
(1)個別に報道され、全体での負担増が見えてこない
(2)厳しい現役世代の目(高齢者はお金持ちという現役世代のイメージ)
産経新聞社会部「風」欄に寄せられた意見のほぼ半分は、今回の住民税増税に肯定的な意見だった
(産経新聞7.19)
「もともと高齢者が優遇されすぎていた」
「税額が10倍前後になったと言うが絶対額ではたいしたことではない」
(産経新聞7.20)
これ以上の負担が高齢者に及ばないためには
(1)まずは、財政収支の健全化!
まだまだ無駄がありすぎる民間企業にはない役所の無駄、乱費の支出を徹底的に抑制
(2)その後の増税の検討(このときに、きめ細かい対応を!)
消費税率アップの最低条件
生活必需品:非課税又は低税率 ⇔ 贅沢品:ある程度の高税率
(毎日放送ラジオ「鋭ちゃんのあさいちラジオ」2006年09月23日ON AIR)
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