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経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”

一週間のニュース解説

 今週も、一週間いろいろな出来事がありました。
 いじめが原因と考えられる自殺が後を絶ちません。そして、子供への虐待と殺害。知事の逮捕。世の中どうなってしまったのでしょうか。「お金で買えないものはない」と豪語する人がいました、でも、あまり批判もなく社会は見過ごしました。かつての日本だったら、と思うことがしばしばです。
 拝金主義が蔓延しています。世の中で一番大切なもの、それは「人」そして「人の心」だと言うことをこの一週間、新聞を読んで叫びたくなりました。

 11日、土曜日の毎日新聞はじめ各紙は東京証券取引所1部に上場する企業の9月中間決算が売上高、経常利益とも過去最高となる見通しだと報じています。また、15日の朝日新聞などは今回の景気拡大期が今月11月で40年前の「いざなぎ景気」の57か月を超え戦後最長になると報じています。しかし、景気の回復を実感する声はあまり聞かれません。9月に日本銀行が実施した「生活意識に関するアンケート調査」でも、1年前に比べて景気が「良くなっていると思う」と答えた人は前回6月の15%から12%に下がっています。また、「生活にゆとりがなくなってきた」とする人も、6月の42%から44%に上昇しています。

 15日の朝日新聞では、「最長景気、見かけ倒し」と今回の景気拡大期を解説しています。今回の景気を引っ張ってきたのは企業の利益、全企業の経常利益の伸び率は年平均10.7%とバブル期に匹敵する高さなのですが、この企業利益が従業員の賃金に回っておらず、いざなぎ景気では景気拡大期の5年弱で毎月の給料が79.2%も伸びたのに、今回は逆に1.2%お給料が減っています。また、厚生労働省が調査している毎月の勤労統計調査でも従業員5人以上の会社の毎月の給料が、景気が上向きだしたとされる58か月前の2002年平成14年2月の278,000円から今年の8月には271,000円とおよそ7000円も減っています。
 よくよく考えてみると、従業員が我慢した分、辛抱した分が会社の利益に回っている事になります。読売新聞でも、来年3月期に、日本企業として初めて営業利益が2兆円に達する見込みのトヨタ自動車が、昨年の2005年まで給料のベースアップがゼロであったと解説しています。一般に会社が、そこで働く従業員の将来のことを考えて、従業員に辛抱してもらって会社の基礎体力を固めるために利益を出しているなら、我慢のし甲斐もあると思いますが、会社の利益のためだけなら、人を道具と見ていることになります。
 企業のトップが標準的な労働者の5000倍の年収を得、上位5%の人たちが社会の金融財産の3分の2を押さえ、国民の16%4500万人が医療保険に加入できず医療を受けられないという、そんな格差先進国アメリカから、逆に世の中でいちばん大切なものは企業の利益ではなく1人1人の人間であること、そして、額に汗して頑張れば幸せになれるという社会を作っていかなければならないことを、アメリカを反面教師として学ぶ必要があるのではないでしょうか。

 先日、講演先のホテルから家までタクシーで送ってもらったときのタクシードライバーの方の話です。その日は、客待ちしているタクシードライバーの方々に、コーヒーとケーキがそのホテルから振舞われたそうです。その日に限らずそのホテルのスタッフの方々は、出入りのタクシードライバーにまで気を使ってくださるそうです。そのタクシードライバーの方もそんな対応をしていただけるそのホテルが好きで、そのホテルからお乗りになられるお客さんには、いっそうの気を使われるそうです。
 それぞれの人のことを思いやる気持ち、それが本当のプロだと思います。
 そのタクシードライバーの方のお話を聞いて私もそのホテルが大好きになりました。こんな会社がたくさん出来れば、もっと気持ちよく毎日が過ごせるのにと思います。

 14日の朝刊、日経新聞などの報道は、13日の日本経団連御手洗冨士雄会長の記者会見での法人税率引き下げ発言の内容を掲載しています。政府税制調査会の本間正明会長が就任直後の発言、「世界の法人税改革の流れでいうと日本は遅れている」と、これに続く大田弘子経済財政担当大臣の「法人に対して課される税の実効税率は欧州やアジアに比べ高い水準で税全体の中で考えていく必要がある」との発言、これらの発言を受けて日本経団連御手洗会長は「欧州など各国の状況をみても30%をめどに考えるべきだ」と記者会見で述べています。
 政府税制調査会の本間会長の発言で言うと、「日本は遅れている」とは誰にとって何がどう遅れているというのか具体的な説明がありません。責任ある地位の方の発言だけにイメージだけの発言は差し控えるべきでないかと思います。また、これに続く大田経済財政担当大臣の発言も、なにか誘導的な発言のような気がします。私共の思いでは、日本の法人課税もずいぶんと低くなってきたというのが実感です。
 15日讀賣新聞の解説記事によりますと、現在の日本の企業に対する実効税率は39.54%、ドイツはほぼ同じ39.90%、フランス33.33%、イギリスは少し低くて30.00%です。また、中国は33.00%となっています。国際競争力が弱くなるほどの差の開きは感じられません。ここで、注意をしていただきたいのは、大田大臣、御手洗経団連会長とも、欧米とは言わずに、「ヨーロッパ、アジアと比較して日本の税率が高い」と言っている点です。その讀賣新聞の解説記事によりますと、アメリカの実効税率、ロサンゼルスでは40.75%、ニューヨークでは45.95%で、実は日本の39.54%よりアメリカのほうが企業に対する実効税率は高いのです。
 やはり、意見誘導型発言といわれても仕方がないのではと思います。

 16日の産経新聞では、全国地方銀行協会会長の瀬谷俊雄・東邦銀行頭取が日本経団連からの政治献金再開要請について、「全然関知していない」と述べ不快感を示したと、また、全国銀行協会会長の畔柳(くろやなぎ)信夫・三菱東京UFJ銀行頭取は、「検討していく」と前向きな姿勢を示したと報じています。
 我々、庶民感情からすれば企業に対する税金を今まで以上に低くする必要があるという経済界からの要請は、ちょっと違うんじゃないの、政治献金をするのなら日本のリーダーとして、庶民がまだまだ景気の回復を感じられない今、「我々日本のリーダー企業が日本の税金を負担しましょう」というぐらいなことを言ってほしいと思います。みなさんは、どう思われますか。

 昨日の大阪で読む朝日新聞の朝刊には、京都の鞍馬山まで走る叡山電鉄鞍馬線の線路脇の木々が赤や黄色に色づき始めた写真が載っていました。京都は10月の平均気温が平年より1.7度高く、紅葉が遅れていたそうです。しかし、ここ最近の冷え込みの厳しさで徐々に色づき始めているそうです。
 16日の産経新聞にも、「紅葉に抱きしめられて」という記事を見つけました。関東では、茨城県の「袋田の滝」、山梨県の「西沢渓谷」が良いとか。そしてさらに探すと昨日の讀賣新聞大阪地方版に、岸和田市の牛滝山のお寺をバックにした紅葉の写真が載っていました。
 自然の大きさは偉大ですね。新聞のほんのちょっとの紙面に掲載されたこれらの写真で、人の、私の心が和むのですから。もっと、もっと、私たちが自然に接する機会を持てば、人の大切さ、人の心の大切さを強く胸に感じ、優しい気持ちになれるかもしれませんね。週末、ぜひ、紅葉を見にいらっしゃってください。
(NHKラジオ「新聞を読んで」2006年11月18日ON AIR)

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