経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”
年金分割制度、いよいよスタート
* 離婚件数がこのところ減少していた、なぜ?
2002年 28万9000組 → 2006年 25万8000組 △3万組
実は、離婚した夫婦が年金を分け合う「年金分割制度」4月スタートを待っていた
2004年年金改正 2003年頃から年金分割、議論開始
* 専業主婦(夫が会社員、公務員)が離婚した場合、老後の年金をあまり期待できなかった
離婚後の妻 いわゆる国民年金と呼ばれる基礎年金 満額でも月額約66,000円
元夫が亡くなっても、遺族年金(夫の厚生年金の3/4)はもらえない
離婚後の夫 基礎年金と働いていた年金である厚生年金
例:平均サラリーマン、40年加入 (月額)基礎66,000円+厚生100,500円=166,500円
* そこで、婚姻期間中の厚生年金、共済年金保険料の納付記録を
離婚に際して分割できる制度が4月からスタート
離婚後2年以内に請求、
婚姻期間中の厚生年金、共済年金料を夫婦で負担していたものとして、最大半分迄分割
夫婦の合意又は裁判所の決定等 → 合意調停等分割
さらに来年4月からはサラリーマンの妻を対象とする「請求自動分割」もスタート
→ 2008.4月以降の厚生年金、共済年金料は申請により半分を妻が払ったとされる
* 分割される年金額、どれぐらいになるのか
平均サラリーマン、40年加入 (月額)基礎66,000円+厚生100,500円=166,500円
婚姻期間25年で離婚 夫の厚生年金の婚姻期間部分63,000円の最大半分31,000円
→ 基礎年金66,000円+分割31,000円=97,000円+離婚後働いたらその部分の厚生年金
? 離婚したらすぐに分割分の年金がもらえるのか
妻自身が会社勤めなどの経験があって厚生年金の加入期間が1年以上ある場合は、
平成41年4月1日以前生まれの奥さんは生年月日によって65歳前に支払開始
妻自身に、25年以上の受給資格期間が必要
2006年10月からのサービス開始以来3ヶ月間で約15,000件利用、
そのうちの81%が女性からの請求
50歳以上ならば分割後の年金見込額も知らせてもらえる
請求月の翌月から年金額が変わるが、遡って分割されるのではない。
夫の半分55万円が妻に分割されるのではなく、
夫と妻の婚姻期間中の厚生年金額の合計額が平等になるように分割される
180万円の半分90万円となるように最大20万円が夫から妻に分割される
年金分割があるから離婚が容易と考えるのではなく、
いくらか年金額が増えると考えた方が賢明
サラリーマンの妻の場合は、自分の年金保険料を支払う必要はないが、
離婚後は無職でも自分で
国民年金保険料(2007.04〜月額14,100円、毎年月額280円引上げ平成29年度16,900円)を支払わなければならない。
(SBC信越放送(長野)「モーニングワイド・ラジオJ」2007年04月02日ON AIR)