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経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”

本当に大事なことは何?「年金問題」の読み解き方

アバン(1分13秒)島田読み
[N] 今最も我々の生活に密着した関心事、それは年金問題!
納めたはずの保険料の記録が残っていない!
基礎年金番号が他人のものになっている!
1997年に基礎年金番号が全加入者に割りてられてから、それ以前の記録と統合されていなかったり、1979年から85年までにンピュータによって年金記録を一元化する、オンライン化の際の入力ミスなどもあいまって、今や誰のものかわからないままになっている記録が5000万件を超えるという異常事態となっています。
さらに先週22日、社会保険庁は1954年までの「旧台帳」と呼ばれる厚生年金記録のうち83万件を、マイクロフィルムなどに保存しないまま廃棄していたことを明らかにしました。年金記録の消失という、あってはならない事態になってしまった私たちの年金。でもじゃあどうすればいいんでしょうか?今朝は今最も気になる年金問題について、実態の把握と記録を確認するときのポイント、そして今後どうすればいいのかをわかりやすく解説します。
スタジオ(1)(1分30秒)VFタイトル
[宮根] ほんまにどないなってんねん社会保険庁という感じですが、この年金問題、今最も大きな関心事のひとつになっています。しかし、どうも我々は誰が悪いねん!どうしてくれんねん!ということばかり先に立って、本質的な「どうすればちゃんと年金が受け取れるのか」ということを冷静に考えられなくなっている気がします。そこで今朝は、まず現状いったいどうなっているのか?どうやって自分の記録を確認すればいいのか?さらに今後どうしていけばいいのかを伺っていきたいと思います。おなじみ阪南大学講師で経済ジャーナリスト堀浩司先生に来ていただきました。先生おはようございます。
[堀] おはようございます。宜しくお願いします。
[宮根] 先生、まずこの年金問題、われわれも開いた口が塞がらないという部分はあるんですが、どうも問題の本質を見失っている気もするんですが・・
[堀] そのとおりですね。今とにかく大騒ぎしていますが、まずちょっとコレをご覧ください。これは実際にウチに送られてきた息子の年金手帳です。今、これだけ問題になっているのに年金手帳というものすごく大事なものを普通郵便で送ってくる無神経さ、これひょっとしたら封を切らずに捨ててしまう可能性やきちんと届かない可能性もあるわけで、それを考えたら書留で送ってくるのが当たり前だと思うんですが、この無神経さが問題の根本だとは思うんですね。
ただ大事なのは、騒ぎ立てるだけじゃなく冷静に考えれば、今回の騒動で助かった人も数多くいるんです。どういうことかと言うと、これまでは年金記録をたどりたくても、領収書などの証拠がなければ門前払いだったんですね。それが今回問題が明らかになったことで、記録の照合と言うことに関して、しっかり調べる体制が整いつつあるということなんです。
[宮根] 逆に社会保険庁がちゃんと調べるようになって、記録の照合や確認がとれた人が出てきたということですね。
[堀] そうなんです。もっとも大切なことは、この日本の年金制度というのは、世界にも類を見ないほど良くできたシステムで、社会保険庁や政府を糾弾するのはあくまで制度の是正が目的であって潰すのが目的ではない、ということなんですね。
[宮根] なるほど。ではまずはこの年金問題の経緯と問題点の整理として簡単にVTRにまとめてあります。それからご覧ください。
VTR本編(2分44秒)国会ゴタゴタ 安倍総理
[N] 「消えた年金」問題!でも一体何故消えてしまったのか?問題の根底はここにあります。 まず年金制度の歴史の中で大きな変革と言えるのが、1997年1月に導入された「基礎年金番号制度」。1996年以前は、同じ人の年金でも、勤務先や年金の種類が変わると別の被保険者番号がつけられることが多かったんです。
つまり1人の人が複数の被保険者番号を持っていたんです。そこでこれを一元化するために、年金加入者全員に「基礎年金番号」というものが割り当てられることになったわけです。 方法としては、古い年金番号のついた納付記録が、どの基礎年金番号の持ち主の記録かを調べる作業が行われました。これを「名寄せ」といいますが、この作業を1997年から今まで不明分がおよそ2億件あるうち1億5000万件の照合は出来ましたが、誰の記録なのかがわからないままになっているものが、なんと5100万件あったとされていて、これを統合できないまま今日に至っています。
さらに以前の1979年から85年にかけて、年金記録の全国オンライン化のため、それまでの紙の記録をコンピュータに入力するという作業が行われました。ここでも同じ漢字で読みの違う人、例えばオカタニさんとオカヤさんといった2人の記録が混同されて入力されたりといったミスや、何らかの原因による未入力などが、あわせて1430万件あるといわれています。
しかしながらこの日本の年金制度は、世界でも類を見ない優れた制度でもあります。実は、今回の騒動で年金記録の照合ができて助かったと言う人もちゃんといるのです。大切なのは、年金問題自体の杜撰さは許されることではありませんが、今後は制度を維持するための議論がなされるべきであって、制度を潰したり、「もう年金の保険料は払わない」と考えてしまうのは、なんら問題の解決にならない、ということです。

<安倍総理ON 6月16日 佐賀市>
「年金記録は最後の一人まで必ずチェックする。問題があると批判するより、問題を解決しなければいけない。必ず年金は守る」

[N] 安倍総理もこう言っています。それならば泣き寝入りする必要などなく、しっかりと記録を確認して、払った分の年金は、しっかり貰えるように声を上げていくことが大切ではないでしょうか?
スタジオ(2)(4分30秒)VFタイトル
[宮根] まあ確かに今言うてもどうしようもないっちゅう部分はありますけど、保険料払い込んだほうはもうええかげんにせえよと思いますわね。
VF(1)年金制度の実力(国民年金)
[堀] そりゃ確かにそうですね。ただVTRにもありましたが、この年金制度自体を崩壊させるようなことになってしまっては本末転倒だと思うんですよ。よくこういった問題が起きると、もう国民年金の保険料を払わないとか、私的年金やもっと言えば投資に走るとかを考えてしまう人もいるんですが、まず年金制度の実力というか、どの程度割がいいかを見て欲しいんですが、最初に国民年金の場合です。現在月々14、100円ですから、これを20歳から60歳まで払い込んだとして、6、768、000円、受け取れる額が年間792、100円ですから、単純にこれを割ると、8.54、つまり8.54年で元が取れると、受け取り開始を65歳とすると、おおむね73.5歳でプラスになって、そこからは終身ですから生きている間ずっともらえるわけですね。
厚生年金の場合は少し複雑なので一概には言えませんが、社会保険庁の平均値による試算では、現在35歳の男性で扶養家族なしの場合、70.5歳で元がとれる計算になっています。
[宮根] 今これだけの老後保障ってないですもんね。
VF(2)負担の仕組み
[堀] そうですね。まず民間では無理な待遇だと思います。仕組みとして国民年金では国が3分の1を負担していて将来的には半分を負担するようになる予定ですし、厚生年金も会社が個人負担と同額の保険料を負担しているわけですね。
さらに会社員や公務員の妻は保険料を負担しなくていい、といいことづくめなんですね。私はなにも社会保険庁を擁護するつもりはさらさらありませんが、この制度をしっかり守ってもらうのが我々国民の利益なわけですから、潰すのではなくてしっかり活かして欲しいですね。
[宮根] なるほどね。で、先生先ほど助かった人もいるというお話でしたが・・・
VF(3)東京都Aさんの場合
[堀]  そうなんです。ちょっと例を挙げてみますと、これは読売新聞で紹介されていたケースなんですが、東京都のAさん81歳の場合です。以前、社会保険事務所で問い合わせても見つからなかった二つの勤め先の記録が、今回の騒動後の5月末、社会保険事務所で確認ができたんですね。この方は、現在の年金額が約130万円だったんですが、以前努めていた2つの会社の5年分の納付記録が上乗せされて、年間27万円の受給増、つまり157万円になったということです。さらに今検討中の時効が撤廃されれば、60歳以降の上乗せ分を一時金として受け取れることになります。
[宮根] こういったことは今回の騒動がなければ実現しなかったと?
[堀] おそらくそうでしょうね。これまでは社会保険事務所に行って年金の記録を確認したくても領収書がなかたり記憶が曖昧だと門前払いでしたからね。でも今そんな対応したら猛然と抗議されるでしょうから、進展したといえるでしょう。
VF(4)現在検討中の改善事項
[堀]  そして実は今後ごらんのような改善点が検討されていて、例えば(いくつか解説:時効の問題と国民年金保険料追納期限の延長くらい?)
[宮根] ちょっとずつ良くなってきているということですね。じゃああせって社会保険事務所に駆け込むより、少し静観するくらいのほうがいいと?
[堀]  そうですね。今はとにかく混んでますから、早く安心したいという気持ちはわかりますが、年金時効停止特別措置法などはこれからですから、保障はできませんが待ったほうが良くなる可能性もあります。
[宮根] それでは最後に、年金記録を確認しておいたほうがいいのはこんな人、ということと、どんな確認方法があるのかをまとめて教えていただきましょう。
VF(5)注意すべき人
[堀] はい、まず確認しておいたほうがいい人ですが、1996年以前に結婚や離婚をして名前が変わった人、1996年以前に転職をした人、名前の読み間違えが考えられる人、性別を間違えられる可能性がある名前の人などがあげられます。
VF(6)記録確認の方法
[堀] 記録の確認方法ですが、実際に社会保険事務所に行く方法、電話での照会、社会保険庁ホームページでの確認などの方法があります。実際出向く場合は「制度共通被保険者記録照会回答書」というのが貰えますので、これに自分の勤めた会社の記憶などをたどって、必要事項を書き込んで回答を待つというスタイルです。そしてHPでの確認は、本人確認のためのユーザーIDとパスワードの発行に3、4週間かかりますのでご注意ください。
[宮根] とにかく少し良くなってきているかもしれないので、今電話かけまくるとか、行って何時間も待つよりは少し落ち着いて、まず自分の履歴を整理するとかしておいたほうがいいと言うことですね。
[堀] そうですね、それと同時に制度がどう動いていくのかを厳しく見ていくことが大切だと思います。
[宮根] みなさんちょっとこの騒動がどうなっていくのか、冷静に見る余裕を持ってください。その上で記録の確認をしても遅くはないようです。

(ABCテレビ「おはよう朝日です」2007年06月26日ON AIR)

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