経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”
原油高騰、ガソリン値上げ、そこに税金が
18日、NYで原油先物相場が大幅反発し、一時90ドルの大台に乗せた。
(2003年代 1バレル50ドル台)
NY WTI(ウエスト・テキサス・インターモディエート) 先物1日取引量 実生産量の数百倍
サブプライム問題で株式市場から逃げ出した投機資金
ファンドにとって確実性の高い投資先
ガソリンも高騰
石油卸売り最大手/新日本石油
原油価格が現状水準で推移 → | 10月比5.7円/リットル引上げ必要 150円/リットル超 |
今年8月最高値145.4円/リットルを上回る公算大 |
1リットル ガソリン税53.8円 石油石炭税2.04円 消費税6.7円 税金計62.54円
1リットル140円としても、中味価格は77.46円
小売価格に占める税負担
(1) たばこ63.1% (2)ガソリン44.7% (3)ビール43.4%
→取りやすいところから取る姿勢(たばこ・ビールは健康、ガソリンは環境)
税金二つの驚き
(1)ガソリン税53.8円/リットルのうち、25.1円は暫定税率(2008.03.31期限)
1965年に創設されたガソリン税は揮発油税24.3+地方道路税4.4=28.7円だった。
ところが、道路を作るのにお金が必要ということで
1970年代を中心に暫定的に増税され、現在では25.1円が上乗せされている。
(2)この「暫定」による税金の上乗せは、自動車にかかる他の税金にも
たとえば、車を買って最初の車検を迎えるまで3年間乗ったときにかかる税金は・・・
(新車 重量1.6トン、排気量2000cc、価格250万円)
自動車取得税 125,000円 このうち5万円は暫定で上乗せ分(08.03.31期限)
自動車重量税 75,600円 このうち45,600円は暫定で上乗せ分(08.04.30期限)
このほか、自動車税(3年分)で118,500円、消費税125,000円
3年であわせて444,100円税金を払うが、95,600円は暫定で上乗せ分
これだけの暫定税率なので、国・地方全体で見ると大きな金額になる
暫定税率による道路財源 国だけで年間1兆7千億円(地方 8千億円)
これらの税金は、「道路特定財源」といって、使い道を道路整備などに限定している。
(54年に田中角栄元首相らの議員立法で始まった制度)
でも、公共事業を減らしている今、この税金が余ってきている。
じゃあ、どうするかということで、政府・与党と民主党で意見が割れている。
政府・与党側は、暫定税率は維持したまま「一般財源化」といって、道路を作る以外の使い道に広げたい。
民主党は全てを一般財源化し、減税もするというもの。
この与党対民主党の構図に加えて、自民党内の族議員による抵抗も。
いわゆる道路族は道路特定財源をキープしたまま、公共事業(つまり道路工事)を増やして、地域格差の目玉にと考えている。
福田首相09.23
ガソリン消費が環境問題につながるなら、環境分野についてガソリン税収を使ってもいいのではないか。
家計、企業であれば、不足している資金として他の用途に充てる しかし、税金は法律の中で決められるもの 当初の立法趣旨の役割が終われば、一度仕切りなおすのが当然 みなさんがガソリン代として払っている4割強のお金の使い道にぜひ注目しておいて欲しい。 |
(MBS「はやみみラジオ!水野晶子です」2007年10月22日ON AIR)
(SBC信越放送(長野)「モーニングワイド・ラジオJ」2007年10月22日ON AIR)