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経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”

一週間のニュース解説

 やっと冬らしくなってきた日本、来月は師走というこの時期、良い気持ちであと1ヵ月半の今年を締めくくりたいところですが、なかなか心休まることがありません。

 産経新聞は、このところ一面で「やばいぞ日本」という特集記事を掲載しています。10日、土曜日は「20年前から考える力 消失、3けたの計算なくした、ゆとり教育」と題する記事です。1970年代にゆとりに舵を切った日本の学校教育。2003年に調査された経済協力開発機構OECDの学習到達度調査では世界でトップと思われていた日本の“学力神話”が41の国と地域の15歳のなか、日本の高校1年生の学力が「数学的能力」で2000年調査の1位から6位に、「読解力」が8位から14位に落ちていると報じています。この記事の中で20年前にソウルで開かれた日韓合同数理科学セミナーに日本の高校生らを引率した北海道大学大学院の本多先生は、自分の頭で考えない、言われたことしかできない、自己本位、確認の甘さ、希薄な責任感を当時の日本の学生に感じていたと述べておられます。そして20年たった今、「夏果てて秋の来るにはあらず」と何事にも前兆があり、急にある事態が出現するのではない、という「徒然草」の兼好法師の言葉をしみじみと思うと、述べられています。私自身も教育に携わる身ですが、教育の大切さをしみじみ感じます。最近ではマネー教育を初め、得をするだけの教育を広めようとする動きがあります。基礎的な学力をしっかり身につけ、人を大切にする心を持った子供たちを育てなければ、得をすることだけを考える自己本位な人たちで溢れかえる気がします。教育者がもっと自信を持って教育に携わることが今ほど必要ではないかと思います。

 11日読売新聞、大阪版記者ファイルという紙面では、「民生委員なり手不足」という記事がありました。こちらも、ウ〜ンと考えさせられる記事でした。民生委員は厚生労働大臣が委嘱するボランティア活動。時代の移り変わりとともに高齢者の見守り、児童虐待や家庭内暴力、災害時の避難支援など役割が多様化する一方、「ご近所のため」と奔走する仕事をやりたがる人が少なくなってきているということです。この記事を書いている記者は、前任地の神戸で阪神大震災の時、倒壊した建物の中から近所の人に助けてもらったという被災者の声を聞き、地域をよく知る民生委員の確保は命を守ることにつながると書いている。人は自分一人では生きられない、まわりに生かされて生きている、人々が助け合い相手を思いやる心が広がればどんなに明るく楽しく暮らせるか、民生委員の方々のご努力に心から敬意を表します。

 13日朝刊の毎日新聞には、綺麗に咲くひまわり畑の写真が載っていました。高知県土佐市の季節外れの満開ぶりが知る人ぞ知る人気のひまわり。写真のひまわり畑を見ていると、あの名画「ひまわり」でソフィア・ローレンが戦争で行方のわからなくなったマルチェロ・マストロヤンニ演じる夫をロシアに尋ねるシーン、満開のひまわり畑を歩く姿が目に浮かびます。しかし、そんな想いもひまわりが咲き競うお花畑のその下の写真を見て、興ざめてしまいます。同じ畑の写真なのですが、黄色いひまわりの花が一本もなく寒々しい写真になっているのです。例年同様、「持ち帰り自由」としていたそうですが、なんと80万本のひまわり畑がたった3日で丸裸になってしまったそうです。なかには軽トラックの荷台に満載していく者もいたようです。今は、満開のひまわり畑の写真と「ご期待に沿えない状況を申し訳なく思っております」という主催者のわび状が寂しくたたずんでいるそうです。こんなところにも、残念ながら自己本位の人たちの姿が咲き乱れるひまわりに対しても浮かびあがります。せめて草花に対してだけでも優しい心を取り戻せないのでしょうか。

 14日、水曜日の産経新聞の朝刊に、「溶けゆく日本人」という連載記事がありました。この日の記事は、医療従事者が患者やその家族から暴力や暴言を受けるケースが増えているという内容です。小児科では、学校現場と同様に、非常識な親への対応に頭を痛めているといいます。少しでも待ち時間が長くなると「いつまで待たせるんだ」と医師や看護師を怒鳴りつける。診察中にじっとしていられない子供が多く、子供が泣けばこちらがにらまれる。私の知り合いの小児科医もお腹をこわしたお子さんの診察で、診察前二、三日の間に食べたものを聞いて、「そのレストランで食べたものが原因かなぁ・・・」と、ポロっと喋ったらそのお母さんは、すぐにそのレストランに行き猛烈に抗議をしたそうです。そうすると、今度はレストランからそのお医者さんに抗議の電話があったそうです。人間の体はいつもパーフェクトで、「治らないのは医師の治療が間違っている」と考えてしまう患者が多くなったとこの記事でも書かれてあります。確かに資質を疑うようなお医者さんも中にはいますが、ほとんどのお医者さんは、一生懸命私たちの病気を治そうと思って頑張ってくれている気がします。医師が治療に対して萎縮するようでは、私たちにとっては不幸です。お互い相手を認め合う世の中に戻らなければと、こんなところでも教育の大切さを感じます。

 そんな医療の記事を見ていますと、同じ日の日経新聞、毎日新聞には経済協力開発機構OECDが加盟各国の医療を比較した「図表で見る医療2007年版」を発表したという記事が目に付きました。体重を身長の二乗で割った体格指数で日本は先進30カ国の中でダントツの最低数値だそうです。日本は3.4%、最も高い米国は32.2%という数値だそうです。毎日新聞の見出しなどは、「日本はメタボ小国」とうたっています。自分のことではなく日本の平均値が欧米各国と比較して太りすぎではないということなのに、なんだか自分も太っていないんだと妙な安心をしてしまいます。ただ、この記事の中で気になるのが人口1000人当たりの診療医師数が日本では2.0人と30か国中下から数えて4番目、安心できる医療を受けるにはちょっと心配です。

 15日の木曜日、読売新聞でも出産の取り扱いを中止する病院が後を絶たない、という記事がありました。産科医が不足する背景には、勤務医の激務、ある病院の例では連続36時間勤務が月に6、7回もあるということで、病気を治すお医者さんが病気になってしまうような実態に驚きます。また、訴訟リスクの高さも大きく原因しているようです。安心して医療を受けられるように、患者側もお医者さん側も一緒になって考えていかなくてはなりませんね。

 最後は、昨日16日金曜日、産経新聞で続いている連載、最初にお話した「やばいぞ日本」。週末、気持ちの良い記事であってほしいと思って目をやりました。ゴミのポイ捨てや落書きといえば、「今どきの若者」のモラルや規範意識の薄さを象徴する行為かもしれない。だが、教育の工夫次第で子供たちは驚くほどに変わる、と書き出しでは語っています。東京都が全国に先がけて今年度から高校の必修科目に導入した「奉仕」の授業で、都立広尾高校では、7月下旬に1年生約200人が、表参道、宮下公園などでゴミ拾いや落書き消しの作業を4時間体験したそうです。生徒たちは汗だくになり、ゴミだらけにもなったようですが、もどってきた生徒たちを見て先生方は「みんなの表情ががらりと変わり、目も輝いていた」と感じたそうです。「大勢の人が通る町を自分たちがきれいにしている。そう思うとうれしかった。」という感想文を見て、先生方も安心されたそうです。同じ16日の朝日新聞では、「怒り・不満、他人に爆発」という、駅員や店員を殴ったり、怒鳴ったりする行為が若者だけではなく、男性も女性も中高年の人で増えているというのがその内容です。ちょっとした人と人とのふれあい、相手のことを思いやる心があればみんなイライラすることもなくなるのにと、やはり今一番、日本には、「心」ということがもっともかけており、それを取り返さないと、本当に「やばいぞ日本」になるような気がした一週間でした。

(一週間のニュース解説(NHKラジオ「新聞を読んで」2007年11月17日ON AIR)

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