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経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”

一週間のニュース解説

 寒さも和らぎ少しずつ春らしくなりつつある今日この頃。春、夏、秋、冬と四季のある日本の有難さを実感しつつ一週間の新聞を読みました。気候と同じように心にも暖かい春を感じたいという想いです。しかし、現実はそう心が和む話ばかりではありません。

 8日、土曜日の産経新聞「土日曜日に書く」というコラムに、「国が財テクをするとは」という論説副委員長の記事が掲載されていました。2月に日本版政府系ファンドの検討チームが自民党内に設けられ来年早々の設立を目指していることに対する意見記事です。政府系ファンド構想とは1兆ドルを超えたわが国の外貨準備や年金資金を内外の運用のプロを雇って海外株式、海外不動産などで積極的に運用し、利益を財政再建や社会保障に充てるという構想です。オイルマネーがだぶついている中東の産油国やロシア、中国、シンガポールなどが立ち上げています。この記事では、「政府系ファンドが多額の損失を被ったら、結局は国民負担に直結する。実際に中国のファンドは今回のサブプライム問題でかなりの損失を出しているようだ。破綻が許されない国家にハイリスク・ハイリターンの金融技術を持ち込むのは別問題だ。まして安易な増税回避が狙いでは、逆に市場の信認を失い、しっぺ返しを食うのがおちだろう。やはり禁じてというしかない。」と結んでいます。私もわが国の政府系ファンド構想については、この産経新聞の記事と同じ意見です。自民党の検討チームのある幹事は「サブプライムローン問題で世界の金融市場が傷んでおり、この時期に日本版政府系ファンドを始めれば、日本が海外資産を安く買って高く売る大きなチャンスになる」という説明には目を白黒させてしまいます。今、世界経済を見ればプロ中のプロの金融機関がサブプライム問題で大きな損失を出しています。マネーゲームに国家が踊らされてしまっていいのでしょうか。

 原油価格高騰のニュースが続く中、10日、月曜日の讀賣新聞朝刊のサイエンスというコーナーでは「水素自動車の開発加速」という記事が載っていました。ガソリンの代替エネルギーとしては電気やバイオ燃料などもありますが、電気は充電に時間がかかり一回の充電での走行距離が短い。バイオ燃料は食料との競合が問題となる。これに対して水素燃料はCO2を排出せず、出るのはほぼ水だけ。充填時間や走行距離も国内に初登場した1996年以降、車体の改善が進み、既にガソリン車と同等の車が発表されている、と書かれています。水素を直接燃やす水素エンジン車と、水素と酸素の反応で電気モーターを動かす燃料電池車がありそれぞれに一長一短があり各メーカー間の企業秘密の要素が多くメーカー間の連携が乏しく開発がなかなか進まなかったが、通商産業省では国内外9メーカーのデーターを集め総合評価しているとも書かれています。光触媒を用いて太陽光で水から水素を発生させる研究も進んでおり、その開発の最右翼がスイスと日本だと知り合いの特許の専門家、弁理士の方が話しておられました。その方の話ですと、原油価格が1バレル130ドルにでもなればもう石油を使っていられないと一挙に自然界からの水素製造技術が開発、実用化される、たとえ日本で発明されなくても、実用化できるのは日本しかないとも話しておられました。14日、金曜日の朝日新聞にもある自動車メーカーが水素の燃料電池に高価なプラチナを使うためコスト高が難点だったが、材料を一変させた新たな燃料電池の基礎技術を開発したと報じています。原子力を除くエネルギー自給率5%の日本にとって自然界からエネルギーを作れるとなると将来の不安がいっぺんに晴れます。やはり、日本はコツコツ技術を積み上げていかなければならないと、そして日本の技術者の皆さんは既にそうやって頑張ってくれているのだと思うと嬉しく、また自信となります。

 作業中に薬指と中指を切断してしまった男性に医師が尋ねます。「薬指をくっつけるには1.2万ドル(130万円)、中指なら6万ドル(630万円)。どちらにしますか?」。これは昨年公開され話題を呼んだマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「シッコ」の冒頭部分だが、無保険者が約4500万人にも上るとされる米国の医療をめぐっては、このような話が後をたたないと、11日火曜日の産経新聞「新せかい百科、アメリカ発」では報じています。4月から75歳以上の方の後期高齢者医療制度がスタートします。高齢者の方に給付と負担の関係を明確にし自らが使う医療費に目を向けていただき医療費の抑制につなげるための改正と政府は説明します。しかし、実態は医療費が多くかかる高齢者の方にも保険料を負担してもらおうというのが本音だと思われます。これまでの公的医療保険は世帯単位で保険料を払っていました。高齢者夫婦の場合、奥さんはご主人の被扶養者として保険料の負担はありませんでした。また、子どもと一緒に暮らしている高齢者の方の場合も子どもの被扶養者として保険料の支払はありませんでした。しかし、4月からの新制度では、75歳以上の高齢者の方は、お医者さんでの窓口で払う医療費は原則1割負担と以前の制度と変わりませんが、保険料は一人ひとり負担しないといけません。保険料はその方の所得によって異なりますが全国平均で月額6000円。収入が基礎年金だけの方でも月900円の負担となります。高齢者の方は貯蓄を多く持っているという統計もありますがここにも大きな資産格差があり、多くのお年よりはなんとか生活されているというのが現状です。今回の新制度では1年以上保険料を滞納すると健康保険証を返さなくてはなりません。もし、それ以後、医療を受けるには保険証を持っていたときの10倍の医療費を支払わなければなりません。保険料滞納が続くお年寄りに10倍の医療費の支払はできません。年をとるとお医者さんにもかかれないという現実が日本でも起こるのでしょうか。誰でも年をとりお年寄りになります、せめて医療だけは誰でも心配なく受けられる老後であってほしいと思います。

 月900円の保険料にも困られるお年寄りがいらっしゃる一方、11日の毎日新聞、日経新聞はじめ夕刊各紙は、大阪市生野区の64歳と55歳の姉妹が相続税28億円を脱税したとして大阪地検特捜部は両容疑者を逮捕したと報じました。父の遺産を相続し相続税申告した財産以外に約58億円の現金を姉の家のガレージに段ボール箱50個に隠していたということです。相続税28億円、延滞税10億円、重加算税10億円、さらに罰金と懲役刑が課されるということです。知人の弁護士の方の話ではこれだけ巨額であれば執行猶予ではなく実刑を課されるのではとの話であった。昨年、14億円の相続税を脱税したとして逮捕された滋賀県長浜市のアユ養殖業の70歳の母親と45歳の長女の裁判が3日にあったが母親に懲役3年罰金3億円、長女に懲役2年罰金1億5千万円が論告求刑されている。脱税額がアユ養殖業者の倍であることを考えると今回の大阪市生野区の姉妹の場合はさらに厳しいものとなるはず。毎日10万円を使ったとして58億円を使い切るのには160年かかることになります。隠したお金を全部没収され、何年かの懲役刑を課されることを思うと、使い切れないそのお金を社会に役立てていただければどれほどのお年寄り、貧困で困っておられる方を救われたか。それだけ稼げたのは社会のお蔭と思っていただけなかったのか残念です。

 13日朝日新聞の朝刊に、奈良・東大寺二月堂のお水取りの籠松明の写真が載っていました。関西では東大寺のお水取りが終われば、いよいよ春がやってくると言われます。この天を焦がす松明の炎で人々の心が洗われ、春の季節の到来とともに、人の心にも優しい春の心が伝わってほしいものです。

(NHKラジオ「新聞を読んで」2008年03月15日ON AIR)

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