経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”
公的年金の本当の姿を検証
社会保険庁年金記録問題、保険料横領問題〜公的年金制度への信頼感が揺らぐ
しかし、私たちの公的年金問題の本質を見失ってはいけない
日経新聞ネット調査(2008.01)
公的年金制度は将来にわたって信頼できない 68%
年金財政、給付水準への不安 49%
年金制度は破綻しているか?
2006年度
厚生年金収支 黒字 1兆1021億円
制度発足以来2003年度に一度だけ6386億円の赤字計上
国民年金収支 赤字 △1194億円
2003年度から2006年度まで連続赤字
厚生年金積立金残高139兆7509億円、国民年金積立金残高 9兆3828億円
(世界最大規模・年金給付5年分)
公的年金は損な制度なのか?
厚生年金平均受給額 16万5000円(20年以上加入)
男19万円(34年10ヶ月)、女11万円(23年11ヶ月)
国民年金のみ平均受取額 51,000円(男56,000、女49,000)
(2005年03月末社会保険庁資料)
○ 平均余命までの年金受取額と支払った保険料の比率
今年の大卒新入社員(1985年生まれ)
厚生年金 支払う保険料3300万円/受取る年金額7600万円 2.3倍
(同額ある会社負担額を含めると1.15倍)
国民年金 支払う保険料1200万円/受取る年金額2100万円 1.7倍
(参考)
厚生年金
1935年生まれ 保険料 670万円年金額5500万円8.3倍
2005年生まれ 保険料4100万円年金額9500万円2.3倍
国民年金
1935年生まれ 保険料 230万円年金額1300万円5.8倍
2005年生まれ 保険料 1600万円年金額2600万円1.7倍
○ 何歳まで受給すれば元をとれるか
国民年金8.5年73.5才
厚生年金35才(1973)男性独身5.5年70.5才
○ 厚生年金〜会社負担額の存在が大きい
例 給与35万円 (本人)26993円+(会社)26993円=53986円 → 国民年金14,410円
民間私的年金ではマネ出来ない公的年金
民間会社では破綻は考えられるが、日本国の破綻は考えられない
後退したがある程度の物価スライド
終身年金
厚生年金には引続き遺族年金
厚生年金・・・会社が同額負担 国民年金・・・国が1/2負担へ(現行1/3)
日本の公的年金の問題点は?
○ 長すぎる最低加入期間
日本25年、韓国、アメリカ10年、
英国男性11年、女性9.75年、ドイツ5年、フランスなし
加入期間不足で年金をもらっていない人118万人(60歳未満でも45万人)
○ 低すぎる現役時代の収入と比べた給付水準(OECD2007.06)
〜OECD加盟先進7カ国中最低
ギリシャ110.1%(若年層が多い)、イタリア77.9%、韓国71.8%、フランス63.1%、
ドイツ58.0%、米国52.4%、イギリス41.1%、日本39.2%
「年金が生活費にたりない」と思う人 56.9%(前回2001年度調査比10.3%増)
「年金で生活をまかなえる」と思う人 32.7%(前回2001年度調査比06.8%減)
内閣府5.13発表「高齢者の意識調査」
頼りに出来ないとの諦めは、結局私たちが損をしてしまう
→ 年金崩壊キャンペーンは意図的?!
公的年金を私たち自身が守り育ていく必要がある、私たちのために
(TBC東北放送(仙台)「Goodモーニング」2008年06月04日・SBC信越放送(長野)「モーニングワイド・ラジオJ」2008年06月09日ON AIR)