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経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”

一週間のニュース解説

 京都では、祇園祭のハイライト山鉾巡航も終わりいよいよ本格的な夏が始まります。でも、残念ながら世の中、晴れ晴れとしたニュースがなかなか見つかりません。

 12日、土曜日の讀賣新聞、日経新聞朝刊など多くには、内閣府が11日に発表した6月の消費動向調査の結果を載せています。讀賣新聞の見出しは、「購買意欲調査史上最低」。先行き半年間の購買意欲などを示す消費者態度指数が前月よりも減少し1982年の調査開始以来、最低となったと報じています。調査の対象となっている、「暮らし向き」、「収入の増え方」、「雇用環境」、「耐久消費財の買い時判断」の四つの項目のすべてが悪化した結果ということです。また日経新聞は、食料品など身近な商品の値上げが相次ぎ消費者心理の悪化に拍車がかかっていると、伝えています。史上初めてレギュラーガソリンの価格が1リットルあたり180円を突破するなど、我々消費者としては節約以外に防衛策がないのが現状です。個人や家計としては当然の支出を減らすという行動が日本の国全体としては、景気を冷やします。難しい局面を日本経済は迎えています。

 同じ12日の日経新聞朝刊には、「東京の渋滞、ガソリン高映す」という記事が載っていました。首都高速道路の渋滞、1年前より2割減少し所要時間が4割短くなった区間もあるという記事です。また、産経新聞夕刊でも、「大阪府内3月以降減る渋滞、燃料高騰の副産物?」という見出しです。大阪府内では自動車交通量が大幅に減り始めており、一般道の交差点で大阪府警が測定している渋滞時間が短くなり、6月は前年比約34%もの減少だったそうです。渋滞減少の原因のすべてではないかもしれませんが、ガソリン値上げが影響しているのは間違いありません。

 翌日13日、日曜日の朝刊の多くでは、15日火曜日の全国20万隻の漁船と漁業者が初の一斉休業に踏み切るという記事を載せています。産経新聞は、「燃料価格の高騰で経営が圧迫されている現状を国民に広く訴え、政府に必要な対策を求めるのが狙い。」と報じています。漁船の燃料となるA重油の価格はこの5年で約3倍に高騰し、漁に出れば赤字という場合もあるようです。また、原油価格高騰は燃料だけでなくビニール製の定置網などの漁業道具の値上りも招来しているということです。小売業者は、今回一日だけの休業は、消費者に迷惑をかけるのを防ぐため消費価格に影響がでないように工夫を凝らしているとも報じています。

 20万隻一斉休業の翌日16日水曜日の朝日新聞朝刊には、時々刻々のページで「出口なき低迷漁業」という解説記事を載せています。その中で、15日当日、東京日比谷で開いた全国漁民大会で、「燃油高騰は人間の手でつくられた災害だ」として、政府に支援策を求めています。その記事によりますと、海外では既に支援が動いているということで、お隣、韓国政府は6月、燃料費が一定の水準を超えた場合、超過分の50%を給付することにしたと。また、EUヨーロッパ連合でも漁業者への助成を大幅に拡充する案が検討されているという報道です。日本では、政府の「いろいろ検討中です」というコメント、政府ももっと迅速に取り組んでほしいものです。

 同じ16日の産経新聞夕刊では、個人クリーニング店の窮状が報告されていました。兵庫県西宮市のある個人営業のクリーニング店、店のボイラーで使う灯油、今年に入ってからも3月、5月、6月と値上げされ4年前1リットル45円だったのが現在は、なんと3倍近い130円に。灯油だけでなくドライクリーニングに必要な石油溶剤の価格も4〜5年前の2倍に跳ね上がり、苦しすぎる経営が続いているとのことです。もう、個人では商売の出来ない時代なのでしょうか。

 経済産業省が15日に公表した2008年版通商白書の内容が16日讀賣新聞の朝刊に載っていました。その記事によりますと2000年4月から2008年4月の間に、原油が4.4倍、鉄鉱石と石炭は4.9倍に、銅は5.2倍に跳ね上がり、食料品ではトウモロコシが2.6倍、小麦が3.4倍に値上りしていることが報告されています。通商白書は、需要の増加だけではとても価格急騰を説明できないとして投機資金による価格押上げを試算し公表しています。ニューヨーク商品市場で取引されるテキサス産軽質油の今年5月の価格1バレル125.5ドル。その内の4割、約51ドルは投機資金が押し上げたものと伝えています。また、投機資金により小麦は正常価格の約1.5倍に、トウモロコシは約2倍に膨らんでいるとも報告しています。15日に開かれた自民党の水産関係合同会議では危機感に溢れる意見が相次ぎ、燃料高騰を「激甚災害」になぞらえた決議文を採択したと報じています。マネーゲームによる価格高騰に翻弄される私たちは、激甚の人災にあっているのです。世界中の私たちが苦しむ中、ほんのホンの一握りの人たちが私たちから取上げたおカネでさらにマネーゲームを展開しています。自由な市場に任せておけば市場が解決してくれると市場原理主義の経済理論を振りかざす人たちがいますが、この現状をどのように私たちに説明してくれるのでしょうか。ほんのホンの一握りの人たちだけが富める世界ではなく、ある程度皆が苦痛なく生活できるためには、経済には、ある程度の規制が必要なのです。経済に心が、人のことを思う心が絶対に必要です。

 18日、金曜日の朝日新聞朝刊に「バイオ燃料、食料使わずに活路。価格高騰と無縁」という見出しの記事を見つけました。地球温暖化ガスの排出削減につながる食料以外を原料とする「第2世代」のバイオ燃料の技術開発に世界の注目が集まっている中、いち早くタイで始まった商用生産では、日本の技術が10年越しの実を結んだというニュースです。完全な商業ベースに乗るまでには、まだ時間がかかるようですが、石油に代わるエネルギーの実現が間近というニュースが流れるだけでも実体のない投機取引で高騰する原油価格が暴落するはずです。日本の技術が原油価格高騰の歯止めになり、世界中の困っている人たちを助けられるのです。

 17日の朝日新聞朝刊に今月16日に発生から1年を迎えた新潟県中越沖地震の被災地である柏崎市で、風評被害により海水浴客の宿泊キャンセルが相次ぎ、廃業に追い込まれる民宿も出ていることが伝えられています。地震の被害に遭われ、さらに風評被害が追い討ちをかける形で本当に困っておられるようです。一方、東北6県でも先月14日に発生した岩手・宮城内陸地震の風評被害で観光関係のキャンセルが広がっているようです。ガソリン、食料品などの価格上昇で私達の生活も楽ではありませんが、余裕がおありの方はぜひ、これらの地域の観光地に出かけて差し上げてください。私は、昨年は北陸輪島に、今年は宮城に行こうと思っています。

 18日讀賣新聞大阪版に私が住む大阪府北部、箕面市の試験点灯でライトアップされた「箕面の滝」の写真が載っていました。落差33m、流れ落ちる滝の姿が農具の「箕」に似ていることから箕面の滝と呼ばれるようになったということです。街中に比べて少し涼しく木々に囲まれた空間は心を和ませてくれます。ライトアップの期間は今日19日から8月31日まで。大阪に来られたときにはぜひお立ち寄りください。

(NHKラジオ「新聞を読んで」2008年07月19日ON AIR)

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