経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”
アメリカ発世界金融危機と私たちの暮らし
いったい今、世界の経済はどうゆう状態に
投機家の世界的取り付け騒ぎの渦中
10.10(金)
日経平均株価 8276円43銭(2003.05以来5年4ヵ月ぶり) 前日比−881.06円(戦後3番目)
昨年末終値15,307円のほぼ半分
NYダウ平均株価終値 8451.19ドル 前日比−128.00ドル
なんでこんなことに
金儲けに目が眩んだ金融中心マネー経済の破綻
ローマ法王ベネディクト16世
「砂の上に豪邸を建てても長続きしない。悔い改めなさい」と金儲けのNY金融関係者を批判
◎ デリバティブ金融派生商品
現物ではなく権利の売り買い 無が無を生む、どんどん膨らむ
実際のサブプライムローン総額約140兆円≦全世界のサブプライム損失約143兆円(IMF)
◎ 米国大手金融機関が半年、6ヵ月の赤字で経営破綻
・リーマンブラザーズ(総資産約66兆5000億円) ずっと黒字経営
直前2四半期(3か月×2) 6ヵ月の赤字7000億円 → 経営破綻
・米貯蓄貸付組合最大手ワシントン・ミューチュアル(総資産約32兆5000億円)
2007.10〜12から3四半期9ヵ月の赤字約6600億円 → 経営破綻
なぜ超短期の赤字で破綻 → 長期経営を考えない 内部蓄積がない LB負債65兆円
四半期での利益 利益が出れば株主・役員で分配
訴えられないためのコンプライアンス(法令遵守)はあっても、企業倫理・モラルはない
米証券大手5社経営者過去5年間報酬総額約3210億円
2007年報酬
米証券首位ゴールドマンサックスCEO
現金約29億円+ストックオプション分約45億円=約74億円
破綻したリーマンブラザーズCEO 約36億円(但し現金1億円弱、殆どストックオプション分)
「2000年以降だけでも500億円を超えるボーナス」10.16米議会
これからどうなる
短期 少しの悪材料で株価下落 来週以降の米金融機関決算発表
長期 強いリーダーシップによる明るい未来図が示せるか
前職ゴールドマンサックスCEO米財務長官ポールソン氏の手腕〜米大統領交代後も留任可能性
日本の経済は
米国型経済に進んでいた
短期利益のみ追求
長期視点なし、技術、人を育てない。下請け企業冷遇。
上場企業役員の利益連動型給与(役員の歩合給)を国税が認めてしまった
利益を上げたら役員で分配
年初以来の景気落ち込みに加えて、8月以降の急減速にさらに世界的金融危機
急激な金融縮小が現実の経済では起こっている
企業 金融機関の貸出停止急増。リースもおりない例。
個人 カードキャッシング貸出枠縮小。住宅ローン審査厳格。
→ こんな経済不安な時期に民間金融機関が貸し出しを増やすわけがない
政府による緊急中小企業向け融資が絶対に今、必要
私たちの暮らしは
もともと景気が冷え込み苦しい生活 さらに落ち込むと生活困窮者が続出可能性
2008年度上期(4月〜9月) 企業倒産負債総額8兆6560億円(東京商工リサーチ)
前年同期比2.9倍、史上2番目
日本経済も平成維新
長い時間はかかるが、物を作る人たちにお金が最も行き渡る製造業中心が日本の生きる道
2008年ノーベル物理学賞、化学賞 日本人4人受賞
技術がある日本、ただしうち2人は米国への頭脳流出
あんなに価格高騰時には不安を煽っていたのに、明るいニュースも話題に
◎ NY原油先物相場(10.10終値79.85ドル/バレル11月渡し) 急落
2008.1.2史上初100ドル/バレル突破→145.18ドル/バレル(2008.07.11) 年初来比48%高騰
2008年版通商白書NYテキサス産軽質油正常価格約75ドル 超分は投機資金
原油価格高騰は、人間の手で作られた激甚災害
レギュラーガソリン平均店頭価格(10.06時点) 164.7円 約4ヶ月半ぶりの160円台突入
円高でさらに原油輸入が安くなる 生活が苦しいなか石油関連商品の値下げに期待
(SBC信越放送「モーニングワイド・ラジオJ 」2008年10月13日ON AIR)