経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”
アメリカ発、米債務上限引き上げとドル安円高の経済不安
アメリカ発、米債務上限引き上げとドル安円高の経済不安
米国債発行上限
上限引上げ(2兆1000億ドル、日本円170兆円)が可決されなくても、即デフォルト(債務不履行)にならない
米国が即財政破綻してしまうような印象を私達に与えているが
単に追加の借入ができなくなるだけ→米政府は支払猶予、財政支出の縮小でしのぐ
日本経済への影響は
仮に引上げ法案が否決されていたとしても、即刻に直接に影響はない。
しかし、信用不安とドル売りによる世界経済のうねりが日本経済にも悪影響を及ぼすのは必至
野党共和党は最初から米国債務上限引上法案に同意するのは分かっていた → あくまで戦術として
*米国景気悪化の原因を共和党が作ることになってしまう
*引上げ法案反対を武器に財政赤字縮小を政府に約束させることによる好印象演出
今後10年間で2.4兆ドル185兆円規模の財政赤字削減
1917年制定 第二自由公債法 93年間74回上限引上げ済み
上院 | 民主党オバマ政権 | 財政赤字削減策 | 富裕層への減税打ち切り増税 |
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下院 | 共和党 | 財政赤字削減策 | 歳出カット |
日本の債務の方が深刻
国債務残高 米国約1100兆円 → 日本995兆円
予算規模比 米国約294兆円3.7倍 → 日本一般会計92兆円10.8倍
なのに円高
日本経済の底力 日本国債を金融機関を通じて間接的には個人の金融資産が支えている
ドル安円高 先週末NY1ドル76円70銭代まで
米債務上限引上げ決着で落ち着くはず
大企業は既に海外生産にシフト済み
2010.10月時点海外生産比率 自動車メーカー ホンダ72.9%、日産71.6%、トヨタ55.9%
→ 円高で産業空洞化が進むというのは口実
円高は日本経済に悪影響ばかりではない
輸出比率(輸出/輸入) 2009 日本105.5%、韓国112.0%、中国119.7%、米国65.8%、ドイツ120%
アメリカの経済不安が大きく取り上げられていますが、3月に訪れたニューヨークは元気そのもの。
根拠の乏しい不安に流されていて、損をするのは私達。
不安は投機家の利益を生む。
皆の元気が経済を明るくします。
(FM秋田/JFN全国9局「OH! HAPPY MORNING」2011年08月02日ON AIR)