経済ジャーナリスト 堀 浩司 の “経済コメント”
2013、今年も頑張った中小企業!!
◎ 航空機エンジン修理事業で3年後に事業規模を10倍に延ばす金属技研(株)(東京都中野区)
2008年9月リーマンショック 主力売上の半導体・液晶関係売上6割落込み赤字に
→ 海外営業の強化と航空分野への転換
世界の航空機市場今後20年で2倍以上伸びる。とくにアジアが最大のシェアを占める
2012米航空エンジン大手プラット・アンド・ホイットニー(P&W)から指定サービスプロバイダー認定
修理契約を結んだP&W製エンジン「JT8D」は旧式のため、大半が2020年に退役予定
しかし金属技研は、この旧式エンジン修理で培ったノウハウを他のエンジンに展開する計画
製造分野は製品が売れた時のみ売り上げが発生するが、
航空機の整備、修理、分解検査組み立ては繰り返し需要発 利益を安定的に確保できる。
長谷川社長「積極展開しなければプラスにならない、苦労するほど成果が大きい」と挑戦を続けている。
◎ けん玉を世界に売り込む(有)山形工房(山形県長井市)
けん玉競技国内人口数百万人
日本文化が海外評価されるクール・ジャパンの流れにけん玉も加わりつつある。
けん玉の技は数万種あると言われ、高度な技になればなるほど製品の精度が求められる
2011年、米国への輸出に向けて米国安全基準試験に合格
けん玉は古い記録からフランスのビル・ボケがそのルーツとされており、現在の形は日本で独自に進化
ニッチな分野だからこそ創意工夫により新たな市場開拓が見込まれる
メーンとなる日本市場はまだまだ開拓可能 さらに世界規模での市場形成が期待される
◎ 電子レンジで簡単に調理できる生ラーメンで失地回復を目指す国岡製麺(株)(札幌市)
ゆでた麺を凍らせて、レンジで温め直すものではない
レンジで3分半の加熱中に少量の湯でゆでる。麺どうしがくっつかず、ゆで汁がドロドロにならずに
そのままスープになる。調理が簡単な上、おいしさは鍋でゆでてつくる従来の生ラーメンと変わらない
収益の大きな柱だった社員食堂向麺製品は、食堂運営アウトソーシングの流れで受注が減り、全面撤退
08年に、本州の取引先からの「レンジで調理できる生パスタができないか」という依頼
これは失敗したものの、国岡社長は「ラーメンなら」と考えて開発を継続
初年度2010年販売実績は1万食 → 製品名「ありがとうらーめん」から「レンジでラーメン」に変更
→ 11年は2万食に倍増 → 12年には15万食まで拡大
→ 社員が自主的に一つのテーマに粘り強く、あきらめずに取り組む社風が同社の強み
◎ 患者の心臓を再現し手術を手助け、ドラッカーの教えを胸に世界を狙う(株)クロスエフェクト(京都市)
京都で勝負していくためには、ものづくりの上流工程を手がけなければ駄目、
→ 3次元データによる試作品製作事業開始
京都府立医大小児科医から「赤ちゃんのCTスキャンデータから本物に近い心臓を作れないか」と打診
「事前に練習できれば、赤ちゃんの命が救える」
→ 最初、断るがドラッカーの「変な客が来たら、それが本命の客だ」に出会い引き受ける
自ら開拓した心臓モデルの市場規模を約250億円と予想、2015年度約15億円の売上目標をかかげる
「創業時からの夢」だった世界進出 欧米の心臓関係学会展示のブース人だかりに手応えを感じる
景気がまだまだ低迷する中、確実に成長を遂げている中小企業があります。
しかし、どの企業も最初から好調であったわけではなく、失敗を重ねながら成長を遂げています。
金属技研(株)長谷川社長「積極展開しなければプラスにならない、苦労するほど成果が大きい」の言葉が
成長している企業に共通しています。
(FM秋田/JFN全国9局「OH! HAPPY MORNING」2013年12月24日ON AIR)